私とセツローさんとの出会いは、
『ハナコウエスト』のプチインタビューコーナーでした。
素敵なおじいさんの作家が京都で個展を開くと聞き、
ぜひ取材させていただきたい!と思った私。
松山にお住まいなので、東京からだと遠すぎるかしら……
とも一度は思ったのですが、セツローさんについて書かれた
その名も『セツローさん』というとても素敵な本を読み、
そこに写っている作品の写真を眺めるうちに
やっぱりどうしても直接お会いしてお話を聞きたくなってしまい、
結局、松山のセツローさんのお宅まで押し掛けてしまいました。
にこにこの笑顔で私を迎えてくださったセツローさんは、
思わず抱きしめたくなってしまうようなチャーミングなおじいちゃん。
小一時間のインタビュー経験でしたが、
驚きと笑顔の絶えない、心にポーッと灯りがともったような、
とびきり贅沢で素敵な時間を過ごすことができたのでした。
改めて説明すると、セツローさんは、78歳になるおじいさん。
主な作品に、木製のかんざし、スプーンやへら、土人形、
身近な野草を描いた素朴なスケッチなどがあります。
なかでも、全国に多くのファンを持つのが、
木を削って漆を塗り、玉をつけて作られた、かんざし。
先端に付けられた玉は、セツローさんがひとつひとつ選んだもの。
東南アジアのものから中世ヨーロッパの古いものまで様々で、
どれも美しく、静かで確かな存在感を放っています。
また、一本一本に気持ちを集中させて作りたいからと、
一日10本以上は作らない、と決めているそう。
こういったセツローさんのこだわりや言葉の端々に、
作品や、それを手にするであろう人たちへの深い思いやりを感じます。
さて、そして、私の愛すべきかんざしが、こちら!
取材時に、セツローさんから直接譲っていただいた一本です。
添えられた、セツローさんの手書きの紙には、
「ベネチア 一八〇〇年代 ホワイトハーツ赤ビーズ」
の文字が。
「この石は、赤い玉の内側が白いでしょう?
白い心臓みたいだから、ホワイトハーツっていうんです」
というセツローさんの説明を聞き、さらに愛しさが増したのでした。
セツローさんの作品は、
どれも手仕事のあたかみが感じられる素朴なものなのですが、
特に私がすごいなあと思うのは、
「やさしさ」だけじゃなくて、
「せつなさ」や「かなしみ」までが染み込んでいるところ。
「セツローさんのかんざしを手にした瞬間、涙が出てきたんですよ」
という話を、『セツローさん』の著者・祥見知生さんから
お聞きしたことがあるのですが、セツローさんの手仕事には、
本当にそういう心を揺らす魅力があると思うです。
かなしみを経たやさしさが、一番やさしいのかもしれないなあ、
なんて、このかんざしを手に取るたび、しみじみ考えるのでした。
いつも手にしてはただただ眺めることが多いかんざしですが、
和服だけでなく洋服にもとてもあうので、
時々髪に刺してお出かけしては、小粋なおしゃれを楽しんでいます。
夏になったら浴衣にあわせたいなぁ、と今からわくわくしています。
※かんざし¥12600
セツローさんのかんざしはすべて手作りの一点もので、
ついている玉によって、お値段もそれぞれ違います。
2月と3月の個展では販売もあるそうなので、
気になる方は、ぜひいちど実際に手に取ってみてください!
また、ハナコウエスト2008年1月28日発売号に
私の取材した記事も載っていますので、見てみてくださいね。
※祥見知生さんのお店「うつわ祥見」のサイト
セツローさん情報が載っています。
http://utsuwa-shoken.com/
※作品集『セツローのものつくり』(アノニマ・スタジオ)の出版を記念して、
2008/3/1〜3/8 東京 馬喰町ARTBEAT
にて展示があります。詳細は以下。
http://www.anonima-studio.com/071230seturo.html |