日本の映画配給さんは、
ちょっと退屈な映画の原題に、わくわくするタイトルを付ける天才。
と、私はつねづね思っています。
『プロヴァンスの贈りもの』。
聞いただけでわくわく。
あふれんばかりの日差し? みずみずしい野菜? どこまでも青い空? はてしないバカンスのけだるさ? さわやかなロゼワイン? しっかりとした赤ワイン? 石造りの町? 緑いっぱいの風景?
そう、タイトルから想像するもの全てが、鮮やかな映像となって登場するこの映画、
実は、原題は『A GOOD YEAR』(タイヤか?)とそっけない。
主人公は、幼いころ両親を失くし、唯一の身寄りであるおじさんヘンリーが移り住んだプロヴァンスでバカンスを過ごすロンドンっ子マックス。豪腕トレーダーとなってロンドンの金融界で名を馳せるようになり10年も遠ざかっていたプロヴァンスから届いた手紙は、ヘンリーおじさんの死。
ワインをこよなく愛し、ワイン作りに命をかけていたヘンリーおじさん。そのおじさんが守ってきたシャトーを、売り払うために10年ぶりにプロヴァンスを訪れるマックスに、怒涛のように押し寄せるプロヴァンスの魅力・・・・・・。
原作は20年前、イギリスからプロヴァンスに移り住んだピーター・メイル。
『南仏プロヴァンスの12ヶ月』で知られるように、
プロヴァンスの魅力を語らせたら、彼の右に出るものはなかなかいない。
『プロヴァンスの贈りもの』も、そのディテールの魅力に圧倒されます。
マックスが幼いころ過ごした、シャトーの生活。
木漏れ日の中でのチェス。
こども相手に本気でプレーするテニスの風景。
赤ワインに水を入れて乾杯する10歳のマックス。
バカンス客でごったがえすエクサンプロヴァンスのレストラン。
マルセイユ空港へ向かう飛行機が通過する夕暮れのゴルド。
ワインを愛するブドウ栽培担当。
屋外のテーブルで開かれるデュフロ家でのソワレ。
窓辺の乾燥ラヴェンダーを捨てるたびに登場するサソリ。
プールに寝そべる午後の日光浴。
いつもどんなときも片手には赤ワイン・・・・・・。
こんな小さなシーンの断片たちによって、
見る人たちは、たちまちプロヴァンスへトリップ。
現在、プロヴァンスのルールマラン郊外の家を購入し、
いきいきとした毎日を送っているというピーター・メイル。
ロンドンの広告代理店でのエリート生活と、
思い立って突然移り住んだプロヴァンス。
人生をかけて体験した本当の「生」とは何かを、
この映画の端々に感じさせたかったのかな。
ロマンティック・コメディに仕立てられた物語の中に、
プロヴァンスでなければ得られない
「本当の生きる楽しみ」という、
小さなメッセージがぎっしりと詰まっています。
『プロヴァンスの贈りもの』
監督/リドリー・スコット、出演/ラッセル・クロウ、マリオン・コティヤール、アルバート・フィニー、トム・ホランダー 8月4日(土)より梅田ガーデンシネマほかで、全国ロードショー
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マックス(ラッセル・クロウ)とファニー(マリオン・コティヤール) (C)2006 Twentieth Century Fox
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プロヴァンス地方、ヘンリーおじさんのシャトーのテラスで食卓を用意 (C)2006 Twentieth Century Fox
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10歳のマックスとヘンリーおじさん(アルバート・フィニー) (C)2006 Twentieth Century Fox
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昨年訪れたゴルドの町。町はもちろん、外からの眺めが素晴らしい!!
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同じく昨年訪れた、ルールマランの『Villa Saint Louis』の中庭。ベランダでいただく朝食は最高に気持ちがいい
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